2.梅雨、俺はあいつを……。

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ザザ……ザザ…… 潮騒が単調なリズムを刻む。生ぬるい風が潮のにおいを運ぶ。 何を考えるでもなくしばらく俺は、ただ水平線を見つめていた。 「……日が暮れるな」 ふと気付けば、空の下半分がうす紫色に変わり、日没を告げていた。 「夜の海……、か……」 俺は膝を抱え、目を閉じた。波の音がする。 頭の中、飯田の声が聞こえた。 『夜の海は特に好きなんだ。……潮のにおいも潮騒も、昼間の何倍もハッキリ感じるんだわ』 あいつって顔に似合わずロマンチストだよな……。 夜の海、あいつと見たいな……。 気付けば俺は、飯田のことばかり考えていた。 夜の海を一緒に見たい、だなんてダチに対して考えることか? あいつの人懐っこいヘラッと笑う顔、満月が海に光の道を作るんだって話したときの大人っぽい顔、俺の頭の中で浮かんでは消える。
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