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「そだ、広野ー」
やべ。見すぎた?
「夏休みじゃん?メアド教えといてよ」
……そうなんだ。
ダチだっつっても、俺らは所詮学内どまりだったわけで。ケー番も、メアドも知らない。
学校に来れば会えるから、必要性を感じなかったんだけど。
そうか、夏休みか。学校がなければ、会えなくなる。
改めて俺は、飯田とのつながりの頼りなさを痛感した。
なんかあのユミって子が、メアドゲットに必死だったのもわかる気がした。
「俺先に送信するね」
飯田が言って、赤外線でお互いの番号とアドレスを交換した。
「たまには会おうよ。宿題とかやりに市立図書館行っても良いし……」
「飯田」
「ん?」
「遊びは?」
「……?」
「……遊び、誘っても良い?」
メアドもらったことで調子に乗った俺は、かなりの勇気を振り絞って言った。
飯田がふにゃりと笑った。
「……もちろん。楽しみに待ってる」
楽しみに……、待ってる……。
待ってる…………
俺の夏が、始まる。
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