3.夏、あいつの体温

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あれから飯田とは、主に夜頻繁にメールをやり取りするようになった。 内容は、どんなテレビ見てるとか何食ったかとか、どうでも良いものばかりだったけれど。 それでも一日の最後には、 『おやすみ』 って送ってくれる。 俺はその4文字を見ると、なんとも言えない気分になる。あいつが傍で俺の顔を見ながら、いつものふわっとした声でそう言ってるかのようにドキッとするんだ。 何ときめいてんだよ。 友達だろ。 ってつっこむのは、3日目であきらめた。 だって、仕方ないんだ。 俺は、あいつに惹かれている。 一度遊んだあとは、飯田から図書館で宿題やろうと誘われて2回ほど会った。 相変わらずメールは続けていたけれど、何も変化はなかった。 図書館通いも学校でやってたときと同じで、色気もクソもあったもんじゃなかった。それでも、飯田の顔が見られるというだけで嬉しかった。 本当は、海に行こうと誘いたかった。 ナンパ目的でもないのに野郎2人ってのもなぁとか悩んでるうち、8月になった。 みんなで行こうって誘えば良かったと、後になって気付いた。
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