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は?
「は?今から?高2の今年で引退だぞ?」
「だからこそっていうか、一回参加してみたいんだよ。広野が好きなサバイバルキャンプ。な、入れんの?」
「……入れる……とは思う……けど」
「なー。メダカってこんな感じですくえばいーの?」
相変わらずのふわっとしたゆるいしゃべり方で飯田が聞いてくる。
ただ今水槽の掃除中だ。
そんなわけで、ゆるい感じで入部申請し、あっというまに奴はこのゆるい部の一員となってしまっていた。申請に至るまでの行動だけは早かったが。
ボタンを1つ開けてネクタイをゆるめにしめたチャラ系の飯田は、意外にも腕まくりしてメダカと戯れるのが似合っていた。
俺は知らないうちに笑ってたらしい。
「あんだよ。俺が水槽運んでんのがそんなにおかしい?」
「いや、悪い。意外とはまるもんだなって思って」
「飯田ってさ。メダカっていうよりカラフルな熱帯魚じゃん?」
「なんのこと?」
「や、見た目的なこと?」
「そぉんな派手かなぁ?」
「うちの学校ではな。でもメダカ似合ってるし。案外素朴な奴?」
「案外てか、俺わりと地味メンだよ?」
「陣内みたいのとつるんどいてか?ま、俺はお前とは話しやすいと思うけど……」
腕まくりしたままの飯田が、フニャッと笑った。
「そか。広野がそう思ってくれてうれしー」
飯田の溶けた笑顔を見て、俺は心臓の裏側らへんがなんかくすぐったくなった。
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