1.春、あいつとの接点

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は? 「は?今から?高2の今年で引退だぞ?」 「だからこそっていうか、一回参加してみたいんだよ。広野が好きなサバイバルキャンプ。な、入れんの?」 「……入れる……とは思う……けど」 「なー。メダカってこんな感じですくえばいーの?」 相変わらずのふわっとしたゆるいしゃべり方で飯田が聞いてくる。 ただ今水槽の掃除中だ。 そんなわけで、ゆるい感じで入部申請し、あっというまに奴はこのゆるい部の一員となってしまっていた。申請に至るまでの行動だけは早かったが。 ボタンを1つ開けてネクタイをゆるめにしめたチャラ系の飯田は、意外にも腕まくりしてメダカと戯れるのが似合っていた。 俺は知らないうちに笑ってたらしい。 「あんだよ。俺が水槽運んでんのがそんなにおかしい?」 「いや、悪い。意外とはまるもんだなって思って」 「飯田ってさ。メダカっていうよりカラフルな熱帯魚じゃん?」 「なんのこと?」 「や、見た目的なこと?」 「そぉんな派手かなぁ?」 「うちの学校ではな。でもメダカ似合ってるし。案外素朴な奴?」 「案外てか、俺わりと地味メンだよ?」 「陣内みたいのとつるんどいてか?ま、俺はお前とは話しやすいと思うけど……」 腕まくりしたままの飯田が、フニャッと笑った。 「そか。広野がそう思ってくれてうれしー」 飯田の溶けた笑顔を見て、俺は心臓の裏側らへんがなんかくすぐったくなった。
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