1.春、あいつとの接点

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「なーナリ、なんで広野とそんな仲良いんだ?」 安藤の声だ。 あいつらは飯田をナリって呼んでる。正成のナリ。 「あ、俺もそう思ってた。あいつ超普通じゃん。てか、どっちかっつーと暗め?メダカの世話とかさ、お前もよく付き合ってやるよな」 こっちは陣内。 「ん?俺は楽しいけど?」 「図書館で一緒にお勉強とか、やっぱあれか?テスト対策要員?」 ……テスト対策要員? 聞き捨てならない。 俺の価値はノートだけなのか?そうなのか?飯田……。 いたたまれない気持ちになる俺の耳に、聞きなれたあのふわっとした声が届く。 「正直俺テストとかどうでもいい。んー。なんていうか、あいつなんかいいなって思って」 「……。」 ……俺も一瞬思考停止した。 なんかいい?あんまりよく分からない理由だったけど、また左胸あたりにキた。 思わず3人の方を見やると、飯田はなんとも形容しがたい柔らかい顔をして笑ってた。 「ま、いーけど。次は付き合えよ。お前がいるといないとじゃ女の食い付きが違うからな」 理解できない、といった顔で、陣内と安藤は教室から出ていった。 「広野ー」 俺ははっとして我に返る。 「行こ」 飯田が出口のとこでヘラッと手招きしていた。
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