第1章

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5時間目の教室の気怠い空気に耐えながら、私は空を見ていた。 淡い水色の空は晴れ渡り、小さい雲がゆっくりと流れている。 体育の授業をしているクラスがあるのか、校庭からは賑やかな声が聞こえていた。 見ているだけで眠くなりそうな空から目を離す。 黒板の前では、英語の教師がのんびりと教科書の翻訳をしていた。 今年で退職のお婆ちゃん先生は、妖精みたいに小さくてほんわかしている。 年の割には黒い髪を束ねたシュシュが妙に可愛い。 が、その見た目通りのゆったりした喋り方は皆の眠気を誘い。 春の終わりのぽかぽかとした空気もあいまって、教室の半分は既に机に突っ伏していた。 おーい君らは受験生だぞーと思いつつ、私も頬杖をついたままうとうとする。 普段、授業中に寝ることは少ないのだけれど、最近寝不足で所構わず眠くなる。 すべては、あの夢のせいだった。
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