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『綺麗だね』
隣から声が聞こえる
『うん』
爽やかな風。
ここは何処だろう。
『桜、好き?』
広い草原。
目の前には1本の桜の大木。
『好き』
花盛りの桜から花びらが散る。
まるで雪みたい…とぼんやり思った。
草原に座って、桜を見上げていた。
ふと隣を見る。
寄り添うように座っているのは、よく知っている少年だった。
短い黒い髪が似合う、ふっくらしたほっぺの男の子。
その男の子が不意にこっちを向いた。
途端に鼻を掠める匂い。
ああ、なんて懐かしい…
胸を締め付けられるような思いを感じた。
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