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カキンと鋭い音がするや。
練習用の球は和樹のこめかみすれすれを
勢いよく転がって――。
「あーあ。失敗だ」
ポケットに落ちる手前で止まった。
「おまえのせいだ。もう一度やるか」
「お兄様、怖いよ……」
脅える弟が
台の上から身を起こそうとすると。
「こら、誰が起き上がっていいと言った?おまえは障害物だぞ」
「アンッ……」
長いキューの切っ先が
それを阻むように白い胸を突いた。
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