第5章

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カキンと鋭い音がするや。 練習用の球は和樹のこめかみすれすれを 勢いよく転がって――。 「あーあ。失敗だ」 ポケットに落ちる手前で止まった。 「おまえのせいだ。もう一度やるか」 「お兄様、怖いよ……」 脅える弟が 台の上から身を起こそうとすると。 「こら、誰が起き上がっていいと言った?おまえは障害物だぞ」 「アンッ……」 長いキューの切っ先が それを阻むように白い胸を突いた。
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