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あちらには兄の目が
こちらには僕の恋人とおぼしき男の目があると知りながら。
「それじゃあ先生、またあとでね」
「……っ!」
限りなく確信的な挑発――。
和樹は後ろから僕の首根っこに両手を回し
甘えるように抱きついた。
「何してる……のっ……」
焦って振り払おうにも
その力は意外と強く。
「だって先生の髪、いつもいい匂いがするんだもん」
見せつけるように僕の髪に鼻を埋めてから
ゆっくりと離れて行った。
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