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僕がぼんやりしているのをいいことに。
「帰らないよ。ホストがああ言ってるんだから、泊まっていくのが筋でしょう」
誠也は古女房のように
開き直って大柄に腕組みして見せる。
「勝手にしろ」
そのかわり
どうなっても知らないぞ――。
舌打ちまじり
思わず頭を抱えた。
(……しまった!)
僕の左手に――。
「ねえ、僕があげた指輪は?」
愛の証がないことに
誠也は目ざとく気づいてしまう。
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