第5章

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「それじゃ今日中には返ってくるよね?」 「うん……どうだろう」 「指輪磨くのに丸一日もかからないでしょう?」 徐々に疑いを深める瞳。 「そうだね、もうそろそろ出来上がるかな」 追い詰められた僕は 仕方なしに口から出まかせ答える。 「おまえを部屋に案内したら、その足で取ってくるよ――」 優しく肩を抱いてやると ようやく納得した様子で 「大事な物なんだ。もう他人になんて預けないでよ」 「分かった。すぐに返してもらうよ――行こう」 誠也は大人しく僕についてきた。
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