宝石を盗んだ男

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「宮殿だ」 「まあ、本当だわ。雲と雲の隙間に宮殿が見える。あれは一体、なにかしら?」  安西は愕然とした。出来すぎた台本だ。このまま二人はどなるのか、気になって動けなくなった。 「姫、宜しければ、あの宮殿に行ってはみませんか?」 「怖くはない?」 「それは行ってみなければわからないことです」  安西は二人の同行に吸い寄せられた。なぜだか知らないが目を話すことができない。悔しいが、先を読めないのだ。  スモッグの中に誰か新しい役者が居る。  安西は、固唾を呑んで三人を見据えた。
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