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その後は転落の人生だった。何をしても身に入らない堕落した生活の末に地位も名誉も失った。
いろいろと自殺方法を考えて、南極に行って死のうかと結論付けた。虚ろな世界に区切りをつけるために飛行機に乗り込んで、南極まで犬雪車に乗った。
澄んだ空気に真っ白な雪景色と白熊とペンギンの逞しさにどれだけ自分が小さい人間かを理解した。
雪車を降りた時には死ぬ気も失せていた。日本では見えなかった綺麗な景色が、心境を変えたのだ。
死ぬことを諦めて、南極で働いた。丁度、環境調査団体と廻り合い、生きていく気力を取り戻した。
そうして、二年前に日本に戻って来た。ただ、日本の生活に魅力を失っていたのものも事実だった。
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