第1章

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ソフトクリームを完食してお腹も気分も満たされた。 「ここ、宿の傍に河川が流れていて、滝が打ち付けてる場所あるんだってよ。 露天風呂からも見えただろ?」 「んー、そうだった? 気づかなかったけど」 相川さんの嫌味でイライラしていたから、周りをよく見渡せなかったかのかもしれない。 「出て鑑賞してみる?観光地でもあるらしいから。寒いかもしんないけど」 ヨシは外を指差して言った。 見てみたいけど、リューマたちが気になる。 「リューマたちはまだお座敷にいるだろ」 私の心を見透かした様にヨシがそう言った。 「いこ」 ヨシに促されて外に出ると、冷たい空気が肌を刺して思わず身震いした。 宿の裏を散策すると私たち以外にもカップルがいて、すぐに豪快に上から打ち付けている絶景スポットの滝が見えてきた。 「わぁ………、すごい迫力だね」 「だな」 ヨシも感嘆したように打ち付ける滝を見上げた。 「こうゆう自然の息吹に触れると、自分の悩み事が小さい事に見えてくるなぁ。」 私はしみじみと呟いて、寒さに身を両手で包みこんだ。 しばらく、辺りを散策していると、ベンチに腰掛けて、熱いキスを交わしあってるカップルに遭遇した。 「………………」 「‥……………」 思わずヨシと顔を見合わせる。 お互いなんだか気まづい雰囲気になり、 「戻るか」 ヨシがポツリと呟いて頭の後ろを掻いた。 温泉宿に戻り、私はリューマたちがいるお座敷に足を向けた。 中を覗くと、宿泊客らしき人たちが数人談笑していて リューマたちの姿は見当たらない。 「部屋に行ってるのかも」 ヨシが私の後ろから一緒にお座敷を覗き込んでそう言ったのを聞いて 体が強張るのが分かった。 二人で部屋に行ってるなんて………。 心臓がイヤな音をたてて脈を打ち始める。
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