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「え、あ、ああ。知ってるよ、大河風邪引いたんだ。そういえば、前にもオレに声かけてくれたよな?」
「えっ!覚えていてくれたんだ、嬉しいなぁ!だって知ってるもなにも、隣のクラスだし、杉浦くんのこと前から格好いいって思ってたから!」
覚えられてたことがよっぽど嬉しかったのか、オレの腕に腕を絡めて上目遣いで見つめてくる。それをやんわりと振りほどこうと一歩下がる。
「そ、そうなんだ、ありがと。じ、じゃあオレ――」
「俺、川上って言うんだ!ずっと仲良くなりたいって思ってたから、こうやって話せて嬉しい!」
オレたちに気づいた滴草は、一瞬ぎょっとして、後ろのドアの方に向かっていく。それに慌てたオレは、この川上ってやつを振りほどこうと腕を引っ張るもなかなか放してくれない。
「ちょっと悪いんだけど――」
「これから寮に戻るんだよね?一緒に帰ろう?」
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