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とにかくオレの話はとことん遮られ、そうこうしてる内に滴草はオレの後ろを足早に通りすぎて行ってしまった。
あっ、ちょっ――マジかよ……。
傍にいた立花も、何も言えずに引き攣った顔でオレを見ている。
「ちょっと待っててね、今バッグ持ってくるから!」
そして返事もしてないのに勝手に一緒に帰ることにしている川上は、バッグを掴むと友達に手を振りすぐこっちにやってきた。
――最悪……。一緒に帰れなかった……。
川上に腕を取られ、半ば引きずるようにして歩かされるオレ。その後ろを黙って着いてくる立花。
一人でキャンキャンとおしゃべりを続ける川上の話は、オレの頭にはいっさい入ってこない。
オレがただただ思うのは、滴草のことだけだったから。
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