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新・続・尻1
「いやー! いやー!」
女は悲鳴を上げながら泣いている。泣きたいのはこっちのほうだ。どうやってコミュニケーションをとっていいのかわからん。
「女、よく聴け。俺の意識がかろうじて保てているのはお前のおかげなのだよ」
女は恐る恐るこっちを見る。尻から首筋にかけての美しいカーブに俺は欲情した。欲情して意識がよりはっきりとしてきた。
「そうだ。それでいい。いいか。俺は変態だ。そう思ってくれていい。感染者よりも変態のほうがまだいいだろう?」
「な、なによそれ! ヘンタイ!」
俺がそういったのだから、変態といわれて文句を言う筋合いはない。しかし、変態とヘンタイではなんというか、微妙にニュアンスが違う。前者は偏執、つまりは偏りを示し、後者は異常を示す。さらに前者は時に賞賛の言葉として使われ、後者は軽蔑の言葉として使われる。
「心配するな。俺は無害な変態だ。いや、この場合、有益な変態といって過言ではないぞ」
「もう、イヤ! 話しかけないで!」
女の気持ちもわからないでもないが、それでも俺は話をつづけた・
「いいのか。このまま俺の病状が悪化したら、こんなやわな拘束じゃ、俺を縛り付けておくことはできないぜ」
どうやら、交渉はこちらのペースで進められそうだ。女は観念したようだ。
「それでいい。ともかく悪い提案じゃない。よく聴け」
俺は3つのことを提案した。
つづく
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