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尻3
これはヤバイ。
殺されると思った俺は、すぐにドアを閉めて鍵をかけた。チェーンをして、それから洗面所にいって傷口を見た。いや、驚いたよ。俺の首の皮膚をすっかり食いちぎられていた。皮膚どころか肉ごと持っていかれた。あのときの驚きったら、なかった。そのくらい驚いたよ。
血が止まらない。このままじゃ命にかかわる。そう思って警察に電話をしたが繋がらない。
救急車もだめだ。
いったいどうなってやがる。
それで、どうした、それでどうなったか。
気分が悪い。
吐き気がする。
めまいも。
意識が遠のく。
助けを呼ばなきゃ。
そう思ってあの野郎がまだ玄関の前にいるかどうか、確かめにいった。だが誰もいない。そっとドアを開けて周りを見渡す。世界がぐるぐる回る。そしたら女の声が聞こえた。
「大丈夫ですか? 大変血が出ているわ」
そんなことを言っていた気がする。
ふっと体が軽くなって……、どうやら彼女が俺を担いで部屋まで運んでくれたらしい。
そうだ、たしか、この女も知っている顔だ。名前は知らないが、彼女の顔、いや尻には見覚えがある。
彼女はひどく怯えているようだ。
無理もない。
どうやら世の中どうにかなっちまったらしい。
二言、三言、会話を交わしたのだと思うが、ほとんど覚えていない。
どこかで意識が途切れてしまった。
そして次に気がついたとき、俺は、目も閉じられなくなっていた。
なんだ、おかしいな。
目を開けられないんじゃなくって閉じられないってどういうことだ。
ひどい寒気に襲われて、意識がどんどん薄くなって、それで、どうした。
目の前でうずくまって震えている彼女の、そう彼女の尻がずっと見えていた。
いい尻だ。
食べてしまいたい。
続・尻 につづく
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