第1章

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「がおー」 彼の口が開いて、 かまれそうになって、 手をひっこめた。 「なんだ、 起きてるじゃん」 私は、 ばくばくの心臓を悟られまいと、 わざと迷惑そうに言った。 「これじゃ、 もったいなくて寝てられないよ」 「気持ち悪くて寝ることにしたんでしょ」 「寝ない、 寝ない。 寝ないぞ、 俺は。 嵐だったから得したな」 と言いいながら、 また目をつぶってしまった。 それから多分10分ぐらい、 私の足は硬直状態だった。 彼はバッと起きて 「あ、 ごめん。 俺、 寝ちゃったよ」 と、 我に返った様子だった。 「足、 しびれちゃって、 動けないよー」 「ごめん、 ごめん。 伸ばせよ、 足」 「そんなこと、 言われても、 伸ばしたら伸ばしたで、 痛い…、 いってー」 「しー、 大きな声出すなよ、 みんな寝てるよ」 「だって、 痛い、 いたたた」 「じゃ、 こんど、 俺が膝枕、 してやろうか」 「男の膝枕?それって堅そー」 ああ、 言ってから可愛くない返事しちゃったなあって、 後悔。
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