第1章

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 口をきいたことなかった。 いつからか、 イハが、 西城、 西城と呼ぶから、 西城くんってこの人なんだな、 と、 分かってきた。 顔は結構いいのに、 自分から話したりしないし、 おしゃべりのイハのそばにいるからか、 目立たない存在。 でも、 だんだん、 顔覚えてきたんだろうな。   学食のカウンターで彼と一緒になった。 そしたら、 目が合って、 「よ!」 と、 声かけてくれた。 先に注文した私が、 トレイを持って行こうとしたら 「美里さん、 お釣り忘れてるよ」 と、 一言。 彼が初めて私の名字を言った。 なんだ、 知ってるんじゃん、 名字。 それから、 教室で、 廊下で、 時々会って、
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