はじまり

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……イラ。 『もー着くから』 それだけ送ってさっきよりも歩くスピードを速める。 競歩みたい。 …いいやもう走るか。 目的地すぐそこだし。 タッタッとリズムよく走る。 オフィス街を走り抜け、大通りの角をまがる。 あー、スタバがある。 甘いの飲みたい。 それから10分ほど走ったところで人だかりを見つけた。 「あの、連絡先交換してもらってもいいですかっ?」 「ちょっと、なに抜け駆けしてんのよ!」 「あーん、お兄さん素敵ぃー」 「もうすぐで仕事終わるからその後遊ぼーよぉ」 やっぱりというか、なんというか。 女の人ばかりだ。 タッと駆け寄り、その中心にいるであろう人物に声をかける。 「泉!」 思いの外響いた自分の声に軽くびびる。 囲んでた女の人たちが一斉に此方を振り返る。 「あー、藍たん!おっそいー!」 「え、ちょっ!」 「お兄さん?!」 「誰、あの子」 俺に気づいてスタスタと此方に来る男に女の人たちは驚いて悲鳴に近い声をあげた。
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