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「…そうだ!だったら一おじいちゃんって呼ぶのは駄目ですか?」
雫は笑顔で斎藤に提案する。
「…は、一おじいちゃんだと!?何故そうなる!!!」
斎藤は雫を怒鳴りつける。
「だって斎藤さん、私のいた時代の人から見れば、ひいひいひいおじいちゃんくらいになるんですよ。だから一おじいちゃん!!」
雫がえへっと笑ってそう言うと、斎藤は腰に差している刀に手をかける。
「お前、本当に斬るぞ!!一くんも一おじいちゃんも駄目だ!!そんな呼び方、絶対に認めん!!!これ以上、俺を侮辱する発言をしたら本気で斬る!!」
雫は今にも刀を抜こうとしている斎藤の顔をじっと見つめる。
「…斎藤さん……」
「…何だ……!」
「斎藤さんってすごいからかい甲斐がある…すぐかあっとなって熱くなるところとか、案外可愛いですね!」
「か、可愛い……」
「はい!」
雫がにこっと返事をすると、斎藤の体が怒りで震える。
「雫!!お前!男に可愛いなどという言葉を使うな!!
女にこんなに屈辱的な扱いを受けたのは初めてだ!!!
お前の中には、相手を気遣うとか、場の空気を読むという言葉は存在せんのか!!?
土方副長の命令がなかったら、お前はとっくに俺に斬られていて命はないぞ!!!」
「わぉっ!斎藤さん、もしかして怒り心頭?私、斎藤さんがいつもムスッとしてるから、斎藤さんの笑顔が見たくて、小姓なりに気をつかった発言してみたんですけど逆効果でした?
斎藤さんって、けっこう難しい……」
「難しくない!!俺からしてみれば、お前の扱いの方が難しいわ!!
何故こんな阿呆な女が俺の小姓なんだ!!
自分の運命を心底呪いたくなるわ!!!この間抜け!!!」
「それはすいやせん!」
「謝罪の言葉に心が全くこもっとらん!!!」
「くすっ…」
いつものように、斎藤と雫の喧嘩が勃発する様子を見て、2人の後ろを歩いている沖田が笑う。
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