第壱章

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―あれから15年・・・― 俺はあの日、 俺が生まれたあの病院で起こった引きこもり事件に巻き込まれ、 両親と離ればなれになった・・・らしい。 そのまま俺たちは、その犯人たちの手によって人身売買を経て何者かに買われ、 気がつけば10歳の俺はどこかの実験施設で水の中にいた。 自分の体の妙な感覚にも気づけぬまま、 いつしか、その施設が強制閉鎖され解放された。 他にも世界中からこの施設に連れてこられた子供達が何万といたが・・・ 後に半数以上の子供が地下で白骨死体として発見された。 新聞やニュースでは、 檻で発見され生きていた子供達の大半は 引き取られていったらしい。 が、その引き取り先で自らの命を絶つものや、 何も口にしようとせず飢え死にしていったそうだ。 俺もそこから逃げてきた当初は自殺をはかったが、 血が流れ続けるのと軽い貧血を起こしただけで、 死ぬことは出来なくて、今では諦めた。 変わりに、あの死んでいった子供達の分まで 生きていこうと思うようになった。 今思えば今までの人生災厄ばかりだ。 でもそれはきっと・・・これから先も・・・ 変わることはないのだろう。
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