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『なんや? 今日はやけに騒がしいな・・・』
緋色の髪をした青年が寺の縁側に腰掛け、一枚の羽を空にかざしながら考え込んでいた。
「スズメ。こないなトコでなんしたはるんや?
夕餉に遅れへんぞ?」
その後ろから近づく彼よりも背の高い青年が緋色の青年の肩を軽く叩いた。
『ちょい昴にぃ!スズメゆーなや!』
「スズメはスズメやろ? 同じ鳥なんやしえぇやろ。ややこしい漢字使いよって。はよういかんと、喃嘸さまにどやされる・・・そないに気になることやてあるんか?」
『・・・なんやてないわ。たや、山が騒がしい気がどしたやけやから。気にしはることやてへんと思うし。』
スズメと呼ばれた青年は、持っていた羽を懐にしまい大広間へと足を進める。昴と呼ばれた青年も後に続いて再び歩みを進めた。
二人が大広間の襖をひくと、寺の住職たちがすでにそろっていた。
『すまん 遅なった』
「はよう座れ」
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