朱神寺

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『ほな、行ってきます。』 鳥居の前にずらりと並ぶ朱神寺に住まう者たち。 「気いつけぇよ。」 朱神寺は山のふもとにあるそれなりに大きなお寺である。 その山に火を司るという朱神様がいるとされている。なぜ、神社ではなく寺なのかは初代のみが知るとされていて、どの記述にも残ってはいない。 錫杖を手に一人、山を登る。 半日近く。水分を取りながら山を登ると頂上が見えてくる。 辺りはすっかり日も落ちてしまった。 未だに内部で活発に活動している活火山でもあるこの山は、頂上に近づくにつれ熱気が立ち込めてくる。 一度足を止め辺りを注意深く確認すると、赤い鳥居とその奥へと続く更なる闇を見つけた。 鳥居へと近づき静かに中を確認する。 熱気が充満していたが、奥には松明の明かりがあるのみで、活火山深部へ続いているわけではないようだ。 更に歩みを進めて確認すると煌々(こうこう)と消えることなく燃える松明の間に静に佇む大きく羽を広げた鳥の彫刻があるのみで他には何もない。 あるとすれば、その鳥が咥える羽に見覚えがあるだけ。
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