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『なんやこれ。かいらしいな?
わしんと、おそろいやないか。』
そう言って取り出したのは、今朝がた青年が手にしていた一枚の羽。
フッと目を細めて微笑むと、彫刻を背に座り込む。
立ち込める熱気は熱いはずなのに、ポカポカと暖かく眠りを誘う。
『ここは、ぬくいな。
さいぜんは、あないな暑おしたんに』
鶯は錫杖を抱え、御座をかいて彫刻を背もたれに眠りへと落ちた。
“珍しく客人が来たかと思えば眠ってしまったか。こんなところで寝ると風邪を引くぞ。“
ふわりと辺り一面に舞う朱や緋色の羽。
それと共に同じ色の翼と身体をもつ人の二倍以上はあるであろう大きな鳥のような存在が現れた。
嘴で揺すってみるも起きる様子もなく、青年は深い眠りの中にいるようだ。
一つ小さなため息をつくと、青年をその柔らかな身体と翼で包み込むように緋色の鳥も眠りの底へと落ちていった。
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