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遥か南にある山脈地帯。
そのうちの一つに四方を囲うように鳥居が立つ山がある。
その山は山脈地帯唯一の活火山で、その活火山の中腹にて、紅く大きな鳥が住み着いていた。いや、正確にはそこから出ることができないでいた。
鳥居が結界の代わりとなり、その火山から出ることはかなわない。
生きることはできるが、他のものと触れ合うこともできない。
自由というものを過去に奪われてしまったのだ。
そんな場所に袴を着た青年が何のわけか近づく姿が。
『・・・住職はんがここ行け言ぅて素直に来やはったやけど・・なんやここは?
さみしーとこやんなぁ?』
青年は一際大きな活火山の前で佇みその山を見渡した。
その山を囲む4つの鳥居。
『なんか封印されとぉような感じやなぁ?』
しばらく青年は何かを考えるそぶりを見せるが、首を振ってその思考を止める。
『・・・あかん・・・まさかん考えが過ってしもた・・・』
そんな時、地面が大きな揺れを起こし、それに驚いた青年は何とかバランスをとって目の前の活火山を見つめる・・・。
しばらくして揺れは収まり、青年はほっと息を吐くとまた周りを見渡す。
『・・・ん? さいぜんこないモン落ちとったか??』
いつの間にか足元に落ちていたのは一枚の羽だった。
鳥を含め動物一匹どこを探してもこの一帯にはなにもいない。青年はその羽を空にかざして見つめる。
『なっと・・・きれいな羽やな?なん動モンやろうか?』
ひとしきり羽を見つめると、懐にしまいその場を後にした。
その姿を鳥居の上に座り見下ろすヒトがいたことに気づかぬまま。
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