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風呂から上がり服を着替えると、
髪を乾かしてスリッパを履く。
灯油タンクを二つ廊下に置いて部屋へと戻ると、
タンスの奥から大きめの鞄を取り出す。
そこに入るだけの着替えと家の中で見つけたお金を自分の財布に移し、
冷蔵庫の飲み物をいくつか詰めると玄関へと向かう。
外靴に履き替え、灯油タンクを一つ持ってもう一度2階へと向かい、
その中身を部屋や廊下にまき散らす。
階段を下りながらその中身の残りを撒くと、
次は残りのタンクをもって1階を回り、
部屋と死体にそれを撒く。
最後に廊下に残りを撒いて、
鞄を背負い煙草に火をつけ廊下に投げ込むと
灯油をたどって一気に炎が舞った。
その様子を静かに見つめてから、
玄関を開け外へと出る。
その瞬間に入ってきた風がさらに炎を巻き上げ、
家の中に炎を巡らす。
―ドコヘ イクンダ?―
頭に響く声に答えることもせず、
燃え盛る家を一度も振り向くこともないままに、
ただただ進む。
すでに外は日も暮れ明かりを残す紅い炎を背に
闇へと歩みを静かに進めた。
・・・・彼らの行き先は、まだ・・・
決まってはいない。
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