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その日は、いつも通りの日常だった。
俺は、いつも通りあいつの暴力を
蚊帳の外から見るように受けて、
ただ流れていく情景。
そのまま仕事に行って、
帰宅したあいつの存在を視界から消して、
ただ・・・感情のない人形。
少し違ったのは、いつもより体が軽かった。
ただ、それだけ。
理由は分からないけれど・・・・
いつもより遅く流れる時間を見ていた。
ただただ・・・見ていた・・・。
ナニカが崩れる音と、
新しく積み重ねられていく何かを、
どこか遠くから・・・
俺は静かに見ていた・・・。
―オマエハ ミテイレバイイ―
遠くから聞こえるその言葉のままに。
―オマエニハ オレダケガイレバイイ―
・・・その瞬間から・・・
やっと・・・
俺の中の止まった時間が、
動き始める音が聞こえた。
―オレガ オマエヲマモッテヤル―
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