宝石少女と男子高校生

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人が、人ならざる姿に変化。加えて、その逆も可能… 実際、今しがたその現象を二度も目撃した和樹であったが、下校時の出来事も含めて状況を呑み込めていない部分は多い。 「まず初めにだ。君は一体何者なんだ?」 初対面の者に尋ねる言葉としては、非常識極まりないものではあるが、この文言のみが和樹の頭の中にあった。 第一に、和樹はこの少女のことを当然知らない。17年という人生の中で、このような風貌の女の子とは出会ったことがないからだ。 髪は色を染めることでの変化はあるだろうが、瞳まで自然に色が変わるのは考えにくい。少女の瞳は、カラーコンタクト等で着色しているようにも思えない。 第二に、和樹本人は知らないはずである目の前の少女は、何故か彼の名前を知っていた。 気流を操っていた男改め、浮遊男との一件の際、特に気に留めていなかったが、少女の声は確かに彼の名を呼んでいた。 その声の持ち主である目の前の少女は、和樹の存在を一方的に知っていたことになる。 そして第三。この少女──指輪を、和樹のもとに残していったあの老人は何者であるのかだ。 元々は老人の手にあったこの少女が、和樹のことを知っているのであれば、あの老人も和樹のことを知り、且つ個人を狙っての行動であったことが予想される。
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