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「いやいや、ちょっと待って。何だよ急に…それに、うちで面倒をみるなんて」
「これ以上は何も聞きようがないのはこの子を見れば分かるもの。それに、嘘をつけない素直な子っていうのもね…その点は誰かさんにそっくりじゃない?」
そう言う美裕は、悪戯っぽい笑みを浮かべ息子の方へと視線を移し言葉を続ける。
「理由はともかく、この子は和樹に会うためにここまで来た。だからあなたが責任を持ってみてあげなさい。名前も可愛らしいものを付けてあげること、良いわね?」
"良い訳無いだろ"という言葉は呑み込むしかない状況であるのは明らかだった。
ここで自身が変に抵抗しようものなら、今度こそ詮索されてしまうであろうことを和樹は理解していたからだ。
少女の存在に対し妙な納得を得ている様子の美裕をこれ以上刺激してはならない…
覚悟を決めた和樹は、少女と共に再び自室へと戻ることにした。
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