宝石少女と男子高校生

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**** 和樹たちが自室へ戻り、まずはじめに行ったのが事の経緯の再確認だった。 少女が和樹の手元にやって来た最大の理由は、幼い頃の微かな記憶。『夕凪和樹と共に生きること』を何者かに教えられていたこと。そして、和樹と少女、二人の出会いの足がかりとなったのが、指輪を渡してきた例の老人の存在だ… 和樹との出会いを示唆した者、少女と老人の関係性については少女も正確には理解できておらず、結局のところは分からずじまいに終わった。 また、少女が何故指輪の姿に変化できるのか。そして水を操る力、あの現実離れした能力は一体何なのかさえも分からぬままだった。 「すみません、本当に何も分かっていないんです…」 一通りの確認を終えた後、少女は申し訳無さそうに顔を俯かせる。 思い浮かぶ疑問は全てぶつけたうえで、何一つ望む回答を得られなかった和樹自身も半ば諦めるかのように頭を抱えていたが、一度、深くため息をつイた後、両手をポンと合わせて顔を上げた。 「よし、もうこうなった以上は仕方がない。母さんの許可は下りたんだ、君はこの家で生活すると良い」 時には諦めの良さも大切だと自分に言い聞かせながら、和樹は言葉を続けた。 「ひとまず、呼び名がないのも困るし、君の名前を考えようか」
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