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思考時間は約5分。
和樹自身、随分と安直なネーミングだとは思いつつも、少女を『真凛(まりん)』と命名することにした。
名前の由来は当然『アクア"マリン"』から取ったものである。
「マリン、それが私の名前…」
少女は俯きながらそう呟く。
初めて与えられた自身の名。気に入ってもらえたかどうか、和樹にも一瞬不安が過る。そして、少女は今にも泣き出しそうな表情を浮べながら顔を上げた。
「ありがとうございます、和樹!!」
少女──真凛は、その名を大層気に入ったようで、瞳には多少の涙、そして満面の笑みを浮かべながら和樹に思いきり飛びついた。
その勢いに押される形で和樹の座っていた椅子の重心が傾き、そのまま床に倒れる。
和樹は鈍い痛みを感じながらも、自身と共に倒れ込んだ真凛の頭をポンと撫でた。
ここまでに、和樹は母──美裕が出した課題を終えたわけだが、残された課題もあった。
夕凪家は和樹、美裕の二人世代ではない。父──将俊(まさとし)と姉──智恵美(ちえみ)を加えた四人世帯だ。要するに、真凛について説明した内容をこの二人にも伝えたうえで、同居の最終確認を取らなくてはならないわけだ。
その際は美裕からの手助けも期待できるであろうが、正直なところ気が重い。
和樹はそんなことを考えながら、迫るその瞬間に備えることとした。
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