宝石少女と男子高校生

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「真凛、俺の声が聞こえているか?」 反応はない。 何度か指輪をつついてみるも反応がなく、無理やり外すことも試みてみたが、ただ指に鈍い痛みが広がるだけで、こちらも反応はない。 こうも反応がないとやはり夢だったのでは… 多少の不安感が和樹を襲うが、それはすぐに払拭された。 "和樹…" 少し掠れ気味の少女の声が、和樹の頭の中に直接伝わってくる。その直後、指輪が徐々に形を変えていき、智恵美のお下がりのパジャマを着た真凛が姿を現した。 「おはよう、ございます…」 「お、おはよう…」 まだ眠気の残った声の真凜に対し、和樹はややぎこちない返しとなってしまう。 真凛曰く、人の姿の状態で眠りにつく際、睡眠初期段階では人の姿を保っていられるらしい。熟睡状態になった瞬間に姿を保てなくなり、指輪の姿に戻ってしまうとのこと。
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