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「ぐっ……あ、う……っ」
体にトドメを刺す悪意を乗せて、容赦なく振り下ろされる無数の釘が打ち込まれた木製バット。
「っ……が、はっ……」
「「「「「ギャハハハハ~!」」」」」
「っ……うぐ……あ、あ」
悪意に満ちた複数の声が嘲笑う中、膝から崩れ落ちる自分の体は、すでにズタボロだった。
「う……ぐっ……あ、はっ……」
情けなく路上に転がれば、滅茶苦茶に切れた口の中が、鉄の苦味に支配されて呻く。
「は、っ……あ……」
無様に転がる俺を見て、満足といった嘲笑が、激痛に疼く頭上に吐きかけられる。屈辱感に殺意をとうに突き抜けた怒りが込み上げた。
……くそいてえ。
アスファルトに沈む体が強烈な業火に焼かれる。激痛が走り大きく喘いだ。
「っ……ゲホっ……っ、う……ぐっ」
……やっべコレあばら逝ったか。
苦痛に麻痺した頭は飛びかけて、今の状況を他人事だと誤認した。
「六中の篠塚タカシも大したことねえな」
名指しされ、これは現実だと思い知る。胸に沸いた悔しさに奥歯を噛んだ。
「もう終わり?ダサっ!」
「ほーんとダッセーし!」
「もっと楽しませてよー」
「楽勝じゃーん」
「ほーんと楽勝」
「っ……あ、あ」
「ダサいよ篠塚」
「く、っ……は」
脇腹を無造作に蹴り上げられて、路上に転がる。のろのろと腕を伸ばし体を丸めた。
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