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「「「「二中の山口ケンタっ!?」」」」
棒立ちになった高天原の糞共から驚愕混じりの畏怖の声が上がる。途端に山口の雰囲気がガラリと変わった。
「はい?誰だ?いま俺を呼び捨てにした野郎はっ!」
獰猛な野郎の醸し出す雰囲気は、完全に高天原を飲む。仲間を見捨てた屑共が互いに罪をなすりつけ合う。
……仲間を売るなんて本気で糞以下だな。
「誰だって聞いてんだよっ!答えろっ」
「ひっ、ち、違いますっ……うぐ、あ"」
「ああ?!じゃあてめーか?」
「や、ちが、はっ……ぐ、あ"ぁぁ――」
「気安くひとの名前呼び捨てにしてんじゃねーぞ?あぁコラくそったれが!!」
高天原の下衆共に次々と食ってかかる山口。制服の襟首を掴まれた奴らが順番に路上へと叩き捨てられる。
「ケンタそいつ友達か?」
完全に逝った奴の髪の毛を掴んでズルズルと引きずり路上に血を撒き散らしながら山口の元へとゆったり歩を進めるガキに、また背筋を例の寒気が駆け上がる。
……このガキ何モンだよ?!
山口を余裕で上回る気怠く静かな殺気を感じる。堪らなくなって息を詰めた。
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