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俺は篠塚タカシ。
市立第六中学の三年だ。
「篠塚ぁ?俺達の仲間に手え出した代償、ずいぶん高くついたよなあ?」
「――っ!」
「シカトしてんなよ」
「あーあ。殴られ過ぎていつもみたくクソ生意気な口も聞けませんって?」
「篠塚くーんウケんだけどぉー」
喧嘩三昧の日々に明け暮れていたら、いつの間にか学区外まで俺の名前は知れ渡っていた。
「睨むなよ篠塚ぁ――生意気だなぁ?」
ふてぶてしく嗤いながら腰を折って、糞だせえヤンキー座りで粋がる相手を睨み精一杯の虚勢を張る。
素手なら負けない自信があったのに……悔しい。
「気に入らねぇ面してんじゃねぇよ」
心ン中で使えねえ頭とは別に、切り離された本能で罵詈雑言を吐き捨てかけた俺は思わず息を詰めた。
「んっ、ぐ……ぅうっ」
「ほんと汚いな~俺もかけていい?」
「っ――く、そ……が、っは、あっ」
「はっ?イラッとした俺もかーけよ」
「何かほんとむかつくんだよねー!」
……人の顔面に何回も唾吐きかけんな!
「あーイライラするぅー!」
「わかる。こいつ生意気ー」
「勝ったのおれたちだよー」
「けどさぁー?スッキリしなくない?」
「だよねー!なーんでかなあー……その顔ムカつくんだよ篠塚くーん」
「――っ!」
さっきよりも、明らかに重い蹴りが脇腹に入る。
「――っ、ぐ、あ……っ」
不意打ちを食らって、また情けない声が出た。
「あーあ弱いねえー」
「本当つまんなーい」
タイマンというから出向いてやったのに。私立高天原附属中学のチーマー崩れ複数にフルボッコなうとか理不尽だ。だいたい、闇討ちを仕掛けたのは高天原が先だった。俺はそれを返り討ちにしただけ。今日みたいにご丁寧に武器を使われたらさすがに厳しい。けど奴らが言ったみたいに、もう『終わり』だと思ってた。
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