余計なものには目もくれない男。それは医者。

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確かに自分の名前を言われた………違うか?まさかの「ハマフミ」さんとか「ガマシタ」さんとかじゃないのかな? どうしても認めたくなかったので、聞こえなかった事にしようと振り向きもせず歩き出した……が、だ。さっきよりもハッキリとした声で「波間北さんでしょ?」と聞かれてしまった。しかも聞き覚えのある声でだ。 『人違いです。波間北は帰宅しましたよ。それでは、失礼します。』 師長の口振りを真似て言ってみた。だって、この駐車場には街灯がないし、こんな真夜中に声をかけてくるのは変質者か殺人鬼ぐらいだ。……………と常々うちの師長が言っています。だから私は悪くない。もし、名前を聞かれたら堂々と師長の名前を言ってやる。個人情報保護法って深夜帯には無効として欲しい考えの持ち主、波間北であります。 「そういう不審者的な動きが君の特徴なんだろうね。波間北さん。」 チーーーーーーン。 波間北は秒殺されました。だから今立っているのは抜け殻でして、話しかけないで頂きたい。 .
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