余計なものには目もくれない男。それは医者。

8/9
前へ
/37ページ
次へ
この声は…明らかにお気に入りの先生でも禁煙中の事務長でもなく、マウスの様な動きをする検査技師でもやたらに髪型が気になるリハビリスタッフでもない。 むしろ、絶対に師長でもない。だって女子の声じゃなかったし? 認めたくない気持ちを奮い立たせながらゆっくりと振り向く………もう、それはイヤイヤな気分で。 「お疲れ様。今終わり?」 そこには、真っ暗な中で真っ白な歯を見せる何処ぞの医者もどきがいた。 いやああーーーーーーー!気持ち悪いよーーー! 大きな声で叫びたいのに、叫べない環境。只今深夜帯の病院の駐車場。目の前には病室です。叫べません。患者様に迷惑です。 でも、叫べるなら言いたい。 『…火事だあああ!!』 .
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

56人が本棚に入れています
本棚に追加