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スゴスゴと後輩の後について歩き出した時、視界にヤツの姿が入った。
ピロピロピロリーン??
『師長!!ここは一つ、センセイの手をお借りしてみては如何でしょうか!』
もの凄く右腕が耳に付くぐらいにピシッと手を上げて師長に言うと後輩が途端に目をキラッキラと輝かせた。
「………波間北さん。それは先生に失礼でしょ?もう…どれだけめんどくさがりなのかしら?」
『いいえ!きっとセンセイも気分転換が必要と思われます!師長っ??』
例え呆れた顔で見られ様とも、例え看護師失格と言われ様とも発言は取り消しません!私の意思は鋼鉄よりも硬いのだ!
「やめなさい。そして諦めなさい。波間北さん。」
優しく咎める師長の前で唇を尖らせていると聞いたことのない声が頭上から聞こえてきた。
「師長、困り事ですか?」
「先生…すいません。気にしないで下さい。」
「先生!」
見上げた先にさっきまでカルテを読んでいた新任センセイが私と師長の横に立っていた。顔なんてどうでもいい位にデカイ男だ。
師長は頭を下げ 後輩は目をハートにしている。
「何事ですか?僕に出来ることがあれば何でもしますよ?」
は~ン……何でもね……
『あっ!腕が痛い…。さっきのお風呂で痛めたかな…ちょっと湿布をもらってきます~う。』
「波間北さんっ!」
「先輩!」
見事なぐらいに3人の隙間を掻い潜って詰所を後にした。
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