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『…………フウ…ここまで来たら大丈夫だろう。』
額の汗を拭って……出てないから拭くフリだけ。
しかし、あの後輩は可愛いもんだな。出来ないからって泣きそうになるなんて新人レベルで本来なら引く感じなのに、このお局な私に泣きつくなんて…可愛いすぎるだろ?後輩にめっぽう弱い私を知り尽くしているにゃ?
コンコンコン…
「すいません。入ってますか?」
『入ってます。』
突然のノックにも柔軟に対応できます。流石、年の功って感じでしょうか。
思わず自分を褒める様に頬に手を充てていると
ドンドンドンドンドンドン…
「開けなさいっ!波間北さん!リハビリ室のトイレに籠ってないで仕事をしなさいっ!!」
『…ええっ?師長っ!』
何で分かったんだ?なかなか見つからないと思っていたのに。
ギイ…
『…すいませんでした。』
ゆっくりとドアを開けると仁王立ちした師長の姿。何故か笑顔です。
「今日は私と飲んで帰る?」
『…ハイッ!行きますっ!直ぐにお仕事します!』
私のハキハキした答えにさらにニッコリと笑う師長。
「そう思うなら仕事をしなさい。」
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