37人が本棚に入れています
本棚に追加
雉は鬼退治にまた鬼ヶ島に向かい、今度は力及ばす殺された。
そしてまた桃太郎に出会い、鬼ヶ島に向かう。
無事征伐すると、また鬼ヶ島に向かう…
結果は違えど、同じ時間軸の中で永遠に鬼退治を繰り返しているのだ。
それは、全て同じ雉自身の姿であった。
理解できず呆然とそれを見ていた雉は、ふと、僅かな記憶の奥底に眠る、断片的な欠片を見つけた。
拾い集めた欠片は、徐々に繋がり一つの物に繋がっていく。
雉は、その時全てを悟った。
これは、紛いもない自分自身の記憶だ。
知らぬ間に何度も何度も時間が逆戻り、終わりのない鬼退治を繰り返していた。
永久に続く歴史の繰り返しの中で、雉たちの代の鬼退治だけが何故か知らぬ間に繰り返されている。
二重に回り続けていたのだ。
何故、今それに気付いたのか。長い長い繰り返しの中で、自分が初めて鬼退治に行かなかったせいなのかも知れない。
そこまで思考が辿り着いた瞬間、明るい光は徐々に消えていき、不思議な光景を見ることもなかった。
最初のコメントを投稿しよう!