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そのきび団子には、不思議な力が込められていた。
遥か昔の鬼が込めたと言われているが、そこの真偽はわからない。
一説によると老婆の年を若返らせたり、猫を人のように二足で歩く獣に変化させたりする力があったらしい。
そして、命を奪う恐ろしい力も持ち合わせている。
皆がこれを求めて、歴史は繰り返されていた。
―――――
ずっと続く道の向こうから、歩いてくる人影が見える。
顔は見えないが、あれはきっと犬と猿を連れた桃太郎だろう。
そして、雉も仲間にすると鬼ヶ島へ鬼退治に向かう。
もう何代も歴史が繰り返されているのだ。
「そこの御嬢さん…こんな所で何をしているんですか?」
雉に気付いた桃太郎は、岩の前で足を止めると声を掛ける。
両脇は猿と犬が固めている。
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