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雉はこの何代も続く因縁に、心底嫌気が差していた。
顔も知らないような大昔の先祖どもが決めた事を、いつまで続けなければいけないのか。
雉の母親―先代―は、鬼退治に向かい命を落とした。
雉が物心つく前に夫を亡くしている母親は、女手一つで雉を育てた。
たった一人の肉親だった。
悔しくて悲しくて、この呪いのような禍々しい因縁を心底恨んだ。
母親の亡きがらを埋めて祠を建てた時、雉は心に誓った事がある。
自分が歴史を変えようと。
決まった通りに、きび団子をもらうためにお供をするなんてまっぴらごめんだ。
上手い事きび団子を貰うとさっさと逃げてしまおう。
この長い歴史の中でも、こんな事をするのは自分だけだろう。
ここで、もしかしたら歴史が変わるかも知れない。
そう思った雉は、ずっとずっと今日の日を待ち望んでいたのだ。
何年も思い描いた事を、実現させるために。
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