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(今だ!)
一瞬の隙をつき、雉は桃太郎の手から巾着袋ごと奪い取ると、桃太郎を突き飛ばして全力で走り出す。
「!!」
勢い余って尻餅をついた桃太郎は、血相を変えて犬と猿に指示を出す。
「追え!」
桃太郎がそう言い終わるよりも早く、犬が凄まじい速さで駆け出した。
少し後を追うように猿も追いかける。
(早く…早く!)
雉は目一杯走りながら、着物の胸元を強引にはだけて肩を出すとさらし姿になった。
太陽の日差しに、雉の白い肌が曝け出される。
その瞬間、大きな美しい羽を広げると地を蹴って飛び上がった。
寸での所で犬の手は届かなかった。
地上では足の速い犬にでも、飛び立って仕舞えば手の出しようもない。
雉は羽をはためかせながら、優雅に舞って高く空へと姿を消した。
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