プロローグ 歪み 果てるまで

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○  気付けば、そこはありきたりな路地裏だった。  右足に力を入れようとして、痙攣するそれが力なく崩れる。  頭部を壁面に叩きつけまいと、肩を押し付けなんとかバランスを取り、左足に重心を移動させる。  右腕と左足で全身を支える格好になるが、壁がなければ転がっていただろう。益体もない。 「……これはちょっとやり過ぎだろ」  継続的に痙攣と痛みを伝えてくる足が、何日で回復するものか……余り深く考えたくはないが、調査に支障をきたすレベルだと流石に困りものだ。  すっかり夜気にさらされて、繁栄の息遣いすら聞こえなくなった夜の片隅で小さく吐き出した息は、さくりと湿った空気に食われ消えていく。  幸いにして、帰路に就くに不自由する程の痛みではなかったようで、軽く引きずる程度で答えてくれる。神経は問題ない。
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