プロローグ 歪み 果てるまで

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 警察無線から響くのは何時もと変わらぬ情報の渦。  どこでスピード違反が、とか、何処で信号無視の逃走車が、応援が要るか、とか、そういうたぐいだ。  だが、彼らは『その通報』に関して一任(こう言えば格好は付くが、要は厄介払いだ)されているから半ばバックグラウンドのように意識を振り分けていない。 「冗談はよしてくださいよ、おやっさん。  重要参考人ったって、何の格闘経験も、運動部で受賞経験もない、何処にでもいる女子大生でしょう?  おまけに、目立った点で言えば『おのぼりさん』ってだけの。ホームセンターで二束三文のトンカチみたいな傷ならいざしらず、大型重機でも持ち込んだ破砕痕をそんな娘が? 馬鹿な」 「それ言っちまったら大男だって無理だろうよ、サコ。第一、そんなもん持ち歩いてたら誰だって気付く」 「だったら!」 「……だから困ってんじゃねえか。こんなもん、まるで鵺か何かみたいじゃねえか」
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