プロローグ 歪み 果てるまで

9/14

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
「それ、相手が壁を壊せる化け物ってこと前提じゃないですか。  銃が許されてたら『警告なしの発砲も俺が許す』、とか言ってそうですね。そうやって俺におっかぶせるんでしょう?  始末書含めて、何か策でも?」 「無ぇな。何もないことを祈るばっかりだ」  ぼやきながら、八田上はこと此処に至って拳銃を手にすることを躊躇した自分に内心で強く舌打ちした。  私服警官――フィクショナライズされたそれらは拳銃の携行を表向き許されないという話があるが、それは概ねに於いて誤りである。 『警察官等けん銃使用及び取扱い規範』第三章第十一条1項において、私服警官は『その可能性のある職務に従事するとき』はその所持を認められている。  細則は割愛するが、要は『重大犯罪者を拘束ないし無力化する必要を強く迫られる状況下』で、彼らはその一部及び全部の責を負う形で使用が許可されているのだ。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加