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僕と健一は唯一まともな男性陣として、半開きのドアの先へと進んだ。ドアの先はバーになっていた。ビリヤード台にカウンターがあって、ダーツの的には矢が何本か刺さったままになっていた。
「金持ちは良いよな~」
健一はビリヤード台の玉を指で弾いた。先程の雨がっぱはこの中に隠れているのだろうか。
「ねえ、みんなの元に戻った方が良い気がするんだけど」
「ああ、ここには何もないだろうしな」
僕達はバーを出て、皆の待っている大広間に戻ろうとした。しかし、突然、僕は後頭部を鈍器のような物で殴られた。
「がは・・・・」
僕はその場に崩れ落ちると、健一の手に花瓶が握られていることに気付いた。彼は口元をヘの字に曲げて笑っている。
「な・・・・ぜ・・・・?」
「ヒカリは俺のもんだ。お前には渡さないぜ」
健一は倒れている僕の鳩尾を足で思い切り蹴った。
「ごふ・・・・」
僕はゴロリと強引に転がされた。このままでは殺される。僕はフラフラと立ち上がると、そのまま健一に掴み掛った。
「うおおおお」
「この、俺に勝てると思っているのか」
健一のストレートが僕の顔に炸裂し、僕はビリヤード台に倒れ込んだ。健一は僕の首を両手で絞めると、そのまま力を加えて、僕を窒息死させようとして来た。
「うう・・・・」
「死ね、死ね、死ね」
意識が薄れていく。殺されてしまう。僕はもう終わりなのか。こんな奴に殺されて、それで全部終わり。そんなの酷過ぎる。
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