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分からないから、いつもより念入りに化粧を直してから外に出た。
すると今度は、困り顔の中原くんが待ち構えていた。
「もう、あいつら次に行ったよ」
「そうなんだ。じゃあ、私たちは帰ろうか」
「じゃあ、送って行くよ」
「いいよ、別に。シェアハウスまで、そんなに遠くないし」
「そう言って何があったら、俺としても後味が悪いから。その、シェアハウスが見えるところまで」
「う、うん……」
それ以上、拒否するのも何だし、気を使ってくれてるみたいだからお願いした。
中原くんがお会計する間、私は居酒屋の外に出て階段の上から駅前を見てみる。
そこに渋々歩く楓と、その周りを回りながら歩く屯田林くんが見えた。
大丈夫かな……
飲み会の時と違って、楓はテンションが低いように見えるけど。
「なぁ、会費がかなり余ったけど、全員に戻した方がいいよな」
「別に、いいんじゃない」
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